構造的円安 2022 10 23
書名 「強い円」はどこへ行ったのか
著者 唐鎌 大輔 日経プレミアシリーズ
今年に入って急激に進んだ円安に対しては、
日米の金利差が指摘されますが、
長期的には日本経済の構造的な変化があると思います。
そういうわけでアメリカの利上げが終わっても、
円安傾向は続く可能性があります。
かつての日本は国内の工場で生産して輸出していましたが、
十数年前の急激な円高と東日本大震災によって、
リスク分散のために、
工場を海外に移転する動きが大きくなったのです。
その結果、日本は輸出大国から輸入大国に変化しました。
輸入するとなると貿易通貨はドルなので、
円を売ってドルを調達する必要があります。
最近は、海外において、
原油、天然ガス、石炭の高騰になっていますので、
このような資源を輸入する日本は、
円を売ってドルを調達する動きが強くなります。
一方、輸出するものは自動車ぐらいでしょうか。
かつては、テレビなどの工業製品を輸出して、
ドルをたくさん稼いでいました。
今、日本が強い輸出商品となると、
自動車ぐらいになってしまったと思います。
こうしてみると輸入が多くて輸出が少ないので、
円を売ってドルを調達する動きが強くなります。
このままでは国富である貯金が尽きてしまいます。
どうすべきかを考える必要があります。
海外に移転した工場を国内に戻すか、
新たな輸出商品を作るか。
長期的な観点で考える必要があります。